【スポーツドリンクとの違いは?】経口補水液の正しい知識

薬剤師・薬・健康
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こんにちは!SUIMASです!

ゴールデンウィークに入り急に気温も高くなってきました。
まだ5月なのに30℃近くまであがり、すでに夏状態です💦

そこで気を付けなければならないのが脱水症です。
以前冬場の脱水に関する記事を書きました。

https://suimas-health.com/archives/58

しかし、これからの夏は言わずもがな脱水症が気になる時期ですよね?

そこで注目されてくるのが、「経口補水液」です。

薬剤師としてもちろん正しい知識をもって接客しなければなりません。

実際に経口補水液に関して、現場の接客中に

経口補水液を補助的に使ってみてはいかがでしょう?

スポーツドリンクではだめですか?

使用者の状態によって変わってきますね🤔

そもそも経口補水液とスポーツドリンクの違いはご存じですか?

ほとんど一緒だと思っていました。

なんてやり取りもしばしば。

飲む点滴と言われる経口補水液ですが、スポーツドリンクなどとはその特性は異なります
そのため、使用すべき状況や注意点も異なってきます
今回の記事では、混同しがちな経口補水液とスポーツドリンクとの違いについて解説していきます!

また、経口補水液に関して補足的な情報を盛り込み、より生活の中に取り入れやすくしています。

ゴール:経口補水液の正しい知識を理解し、上手に活用できる
ではさっそくスポーツドリンクと経口補水液の違いからみていきましょう!

経口補水液とスポーツドリンクの違い

スポーツドリンク、経口補水液ともに電解質(ミネラル)と糖質が含有されています。
それぞれの観点から比較してみましょう!
ここでは経口補水液の代表格であるOS‐1とスポーツドリンクの代表格ポカリスエットで比較してみます

電解質の比較

成分 ナトリウム
(mEq/L)
カリウム
(mEq/L)
クロール
(mEq/L)
OS-1 50 20 50
ポカリスエット 21 5 16
経口補水療法指針(維持液)
(米国小児学会)
40-60 20 記載なし

※経口補水療法とは
”コレラによる脱水症”の治療法として注目された、水と電解質を経口補給し脱水症を治療する方法

糖質の比較

成分 ブドウ糖濃度(mmol/L)
OS-1 100
ポカリスエット 372
経口補水療法指針(維持液) 80-100

比較の結果

電解質と糖質、2つの観点から比較をした結果、経口補水液はスポーツドリンクと比べ

電解質の含量が多く、糖質の含量が少ない

という結果になりました。

電解質に関してはスポーツドリンクよりも経口補水療法指針に示されている数値に準拠した数字になっています。
これは、脱水時に不足しているミネラルを十分に補給するためです。

また、糖質に関してはスポーツドリンク、経口補水液ともに含有しています。
しかし、経口補水液の方がその含量は少なくなっています。

糖質は水分や電解質の吸収に必要な成分です。
経口補水液に含有されている糖質は、より素早く水分・電解質を吸収するように調整されています。

※単に甘さを抑えるため、少量になっている訳ではありません。

ではどういった場面で経口補水液を使うべきなのでしょうか?

経口補水液を使うべきシチュエーション

経口補水液は水分・電解質をより早く吸収できるように設計されています。
その特性を活かし、以下のようなシチュエーションでの使用がおススメです。

胃腸風邪や感冒など感染症により発熱や下痢、嘔吐の症状がある場合

日常生活でも水分は消失しています。
しかし、上記の下痢や発熱、嘔吐などの症状を伴った場合、水分を短時間で大量に失い脱水状態に陥りやすくなるため、より素早い補給が求められます。

過度の発汗時

夏にスポーツなどをしていて、急に筋肉がつったり、ふらついたり、力が入らなくなったりした経験はありませんか?

激しい運動時や高温環境での作業時は、体が発する熱を下げるため大量に汗をかきます
喉が渇いたと感じた時点ですでに脱水状態になっているともいわれます。

感染症にかかった時と同様に、水分の失う速度が速い状態であるためより素早い水分補給が必要です。

飲食量が減った高齢者

嚥下機能の低下や加齢による経口摂取不足で食事量が減っている高齢者も脱水高リスク群です。

食事量や飲水量が少ないため、限られた水分摂取で脱水を防ぐ必要があります。

経口補水液は通常のお茶などよりも水分の吸収率がいい点に加え、体に水分が保持されやすいという特徴があります。
そのため、同量の水分量でも経口補水液で摂取する水分の方が体内に保持され、消失しにくくなります

おススメの経口補水液 2種

経口補水液は実はたくさんの種類があります。
私はドラッグストア勤務時代に売っている経口補水液を片っ端から試してみました(笑)

そこでどの経口補水液を選んだらいいか迷う人に向け、厳選した2種の経口補水液をお伝えします。

おススメその① OS-1

言わずと知れた経口補水液の代表格です。
正直味は塩水の様でおいしくありません(;^_^A

しかし、経口補水液としての機能に関してはOS-1がピカイチだと感じています。
その根拠はOS-1のパッケージに表示されているマークにあります。

個別評価型病者用食品は、消費者庁が特定の疾病のための食事療法で期待できる効果が医学的・栄養学的に根拠があると明示された食品に対して許可を出した食品です。

簡単に言うと、OS-1は軽度から中等度脱水に対しての効果を国が認めているということです。

実際の成分に関しても電解質の組成は、その他の経口補水液に比べても経口補水療法の指針に準じたものになっているため、脱水の際の水分補給には最適といえます。

また、その形状も液体タイプ、ゼリータイプがあり状況に合わせて使いやすいのもポイント!

※実際にメーカーの営業担当から聞いた裏話【コンビニでOS-1を見かけない理由

OS-1は前述したように、疾病に対する効果が期待できる食品です。
その効果の反面、使用方法を誤ったり、使用を勧められない方が使用した際に体調を崩す原因ともなりえます。

そのため、不適切な使用を避けるために、薬局やドラッグストアなど医療に精通した従事者がいる場所にしか営業活動を行っていないそうです。

おススメその② アクアソリタ

OS-1はその機能性でおススメしましたが、唯一の欠点は”味”でした。
OS-1のブランド力が大きいので経口補水液の味は全て食塩水のような味と認識している方が多く見えられます。

経口補水液を飲んでみたいけど味が・・・とためらっている方へおススメするのが、アクアソリタです。

機能面に関しては、スポーツドリンクとOS-1の中間のような位置づけ。
※注意:OS-1のような病者用食品ではありません。分類は清涼飲料水。
ですが、その1番の特徴は味です。

味はリンゴ風味 ※ゼリータイプはリンゴ風味と柚子風味の2種

市販の経口補水液の中にはほかにもリンゴ風味は存在しますが、アクアソリタが1番クセなく美味しく飲むことができました。さすが味の素が作っているだけあります。

そのため、日常生活で水分が多く失われている起床時や入浴後の定期的な水分摂取におススメです。
また、経口補水液で水分保持能力が高いため、夜間の頻尿が怖く夜の水分を極端に控えている高齢者の方にもおススメです。

実際に薬局での接客では、

脱水が酷く素早い水分摂取が必要な際は効果の高いOS-1、日常シーンの水分補給には飲みやすいアクアソリタ

という形でおススメを変えています。

経口補水液を使う際の注意事項

高血圧、腎臓病、糖尿病などの疾患を持つ方は注意

経口補水液には糖質、電解質が含まれています。
上記の疾患を持つ方は糖質や電解質の制限がある方も少なくありません。

特に電解質に関しては、通常の飲料よりも多く含まれているため過剰摂取により疾患が悪化してしまうケースが考えられます。

使用の際は、医師や薬剤師に確認してからにしましょう。

目安量を守る

健康な方が飲む場合においても、摂取量は守らなければいけません。

1日の摂取目安は500mlのペットボトルで1-2本です。

これ以上の摂取は電解質や糖質の過剰摂取につながる恐れもあるため避けましょう。

割らずにそのまま飲む

経口補水液は製品の状態で、糖質や電解質の吸収が最適になるような濃度で作られています。

味を薄めるため、水などで割ってしまうとその濃度バランスが崩れてその機能が損なわれてしまいます。

経口補水液を摂取する場合は、そのままで飲みましょう!

乳児に飲ませる際の注意

母乳等飲むことができれば、経口補水液を飲ませることは可能です。

しかし小児において、経口補水液摂取により塩分過多になったり、経口補水液の摂取よりも受診が優先される兆候である可能性もあるため迷った場合は医師・薬剤師の支持を仰ぐようにしましょう。

最後に

今からの時期気温の上昇により経口補水液の利用は増えてくるでしょう。

先にも述べた通り、経口補水液は脱水時や日常生活での水分補給に有効です。

自身、また周りの人の状況をみて脱水の兆候がある場合はスポーツドリンクではなく経口補水液を使ってみてください。

しかし、重度の脱水症の場合は緊急の受診が必要です。

医学的な判断に迷った際はすぐに受診などの対応を摂るように心がけてください

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