こんにちは!SUIMASです。
皆さん、今まで1回は薬局に処方箋を持っていったことがあると思います。
その時に、
「なかなかお薬出てこないな、何してるんだろう?」
と思ったことはありませんか?
実際薬剤師の仕事をしていて、
「薬剤師は薬を指示通り渡すだけなんだから、すぐにできるでしょ?」
などと言われたこともあります。
気持ちはわかります。
基本的には皆さんから見えない調剤室で業務を行なっているため、「薬を調剤する」というイメージがつかない方が多いというのが現状です。
そこで今回は、受付に処方箋を渡してからお薬をお渡しするまでの解説していきます。
処方箋のお薬を用意するまでに、実はこんなことをしていたんだ!と知ってもらえたら幸いです。
最後にはお薬をなるべく早くもらうための方法もまとめていますので、是非ご活用下さい。
では、早速みていきましょう!
処方箋情報の入力
まずはお預かりした処方箋情報をシステムに入力していくよ。
患者さんが初めて薬局来られた際、ざっくり以下の情報をシステムに入力・登録する必要があります。
- 患者氏名、生年月日、性別
- 保険情報、公費情報
- 受診医療機関情報、診察医師
- 処方薬の情報
- その他、個別に必要事項がある場合その内容
この情報量に関しては、患者ごとに異なるため2.3分程度で終わる方もいれば、入力に10分ほど要するケースもあります。
また、複数回利用している薬局であれば、すでに基本情報を登録してある状態です。
そのため、変更点のみの入力でよくなり時間を短縮することができるようになります。
受診した医療機関だけでなく、薬局でも保険証の提示が求められます。
さっき病院で見せたのになぜ?
こう思う方も多いでしょう。
実は、処方箋に記載された保険情報はクリニック等の医療事務さんが手打ちをしたものです。また、手書きの場合もあります。
そのため、稀に処方箋に記載されている保険情報が誤っているケースが出てきます。
もちろん、保険を利用して薬局でお薬をもらうため、この情報は正確でなければなりません。
ですので、より正確に保険を利用していただくために薬局でも保険証の確認を行なっているのです。
お薬の調剤
実は薬を取り揃えるだけが調剤じゃないんだ!
処方箋情報の確認(処方監査)
お薬を取り揃える前にその処方内容は本当に大丈夫か確認をします。
例えばこんなことを確認しています!
- 過去のアレルギー歴・副作用歴から使用できない薬剤が含まれていないか?
- お薬の量は適正か?
- 他の病院で処方されているお薬との飲み合わせの可否、重複の有無
etc..
実際僕が処方監査で発見した事例の一部を紹介します。
・適正量の10倍量での処方(子どもの粉薬)
→体重10kgの子どもに100kg換算の分量が処方されていました
・整形、内科、歯科それぞれでロキソニンが処方されている
・内科の抗生剤と精神科の睡眠薬で併用NGの薬剤が処方されている
処方箋のお薬の情報は自動入力ではなく医師が直接入力しています。
そのため、保険情報と同じように人為的な入力間違いが生じることがあります。
また、他の医師が処方した薬剤の情報が伝わっておらず、同じ薬を処方してしまうなんてことはよくある事例です。
こういった処方情報の精査をするための工程が、処方監査です。
もし処方箋の違和感があった時はどうするの?
その場合は、薬剤師から病院へ連絡をし処方内容について医師へ再度確認を行います。
これを疑義照会と言います。
疑義照会は薬剤師業務の中でも大切な業務の一つです。
疑わしい点のある処方箋がある場合は疑義照会で確認をしなければ、お薬のお渡しができないと定められています。
[ 処方せん中の疑義 ]
第24条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。 薬剤師法より抜粋
お薬の調整
処方箋の内容に問題がなければ、お薬の調整に入ります。
お薬の調整で1番シンプルなものが、計数調剤と言われるもの。
お薬自体に特に手を加えず、処方の数通りに薬をピックアップします。
慣れた調剤室で、お薬が1、2種類だけの処方箋であれば数十秒で調整が終わります。
一方でお薬の調整に時間を要する内容もあります。代表的なものは以下の通り。
→文字通り、錠剤を処方の指示に従い半分にしてお渡しします
②一包化
→同じタイミングで飲む薬剤を一つの袋にまとめます
③粉薬の調整
→粉薬をはかりとり(必要であれば混合し)、機械で分包します
④水剤の調整
→シロップ等を計量、混合します
⑤塗り薬の混合
→2種類以上の塗り薬を混ぜて調整します
他にも、錠剤を潰して粉にしたり、カプセルのお薬から中身を取り出して分包するなどもあります。
お薬の種類や量にもよりますが、これらの手技を必要とする場合、調整に20分程度かかることもザラです。
これらの手技がある場合は、お時間いただきますがご了承ください。
お薬の監査
お薬は調整して終わりではないのです。
お薬を用意する上で最後の工程、それはお薬の監査です。
監査ではこんなことを確認します。
- お薬の数や種類は間違っていないか
- お薬に異物は混入していないか
- 包装やお薬自体に破損はないか など
また、お薬だけではなく一緒にお渡しする説明文書の内容に不備がないか確認をしたり、お薬を入れる袋の情報が間違っていないかなども確認します。
この監査が完了し、ようやく患者へお薬をお渡しできる状態になるのです。
お薬を渡すその前に
いよいよお薬をお渡しできますが、最後にもう一つだけ。
それは、患者記録の確認です。
薬剤師がお薬をお渡しすると、患者とのやりとりやお薬の情報などについて記録を書きます。
この記録は、継続した服薬指導を行うにあたって大切なものですので、必ず直近の記録を確認してからお薬をお渡しします!
まとめ
薬局に処方箋を出してから、お薬をお渡しするまでに実は陰でこれだけのことをしているんです。
そのためどうしても、時間がかかってしまう場合もあります。
ですが、最近では薬局内でも様々な面が機械化してきており、以前に比べて各工程に要する時間は減ってきています。
もちろん薬剤師たちも、早く正確に安全にお薬をお渡しできるように努力しています。何か気になる点があれば、普段行き慣れた薬局のスタッフに相談してみてください!
また、最近ではオンライン服薬指導や薬の郵送対応・ロッカー受け取りなど薬局に来なくても薬剤師のアドバイスが聞け、お薬を受け取ることができる手段が広まりつつあります。
今後の新しい薬局のスタイルに期待してください!
最後に、少しでも待ち時間を減らすための方法をいくつかお伝えします。
薬局での待ち時間を減らす方法
かかりつけの薬局を持つ
初めての薬局では患者情報の確認や登録などフルで行わなければならず時間がかかる上に、患者自身も問診票を記入したりと手間が発生します。
また、処方されたお薬が揃わないなんてこともあります(薬の種類が膨大なのでしょうがない部分ではあります)
かかりつけの薬局であれば、そういった手間を省きスムーズにお薬をお渡しできます。また、薬剤師も患者のことを把握しているため、よりその方にあった情報の提供ができるようになります!
FAXで処方箋を薬局へ事前に送る
FAXを利用すれば大幅に時間短縮ができます。
先程までの調剤の流れは、あくまで処方箋をもらいそのまま薬局へいった場合の話です。
病院やクリニック、あるいはご自身で事前に処方箋のFAXを送ることで、薬局では来局前にお薬の準備まで終えることができるため、スムーズなお薬のお受け取りが可能です!
しかし、FAXで処方箋を送る場合には以下の点にご注意ください。
- FAXで送っても処方箋原本の提出は必要
→FAXで事前に送付していても、発行日含め4日以内に原本を用いて来局が必要です - 病院やクリニックによってはFAX利用料が別途かかることも
→1回の利用で10円ほど利用料を徴収されることもあるそうです - 薬の受け取り順序は薬局毎に異なる
→FAXを送付していても来局順に薬を渡す薬局もあります。
LINEや電子お薬手帳の処方箋送信機能を使う
現在は公式LINEを作成したり、電子お薬手帳を作成するなど患者との連携を取るためモバイルを利用する薬局が増えてきています。
その機能の一つとして薬局への処方箋送信機能を付与していることも!
基本的なメリットや注意点はFAXと同じですが、スマホやタブレットで処方箋の写真をとり送信するだけなのでより利便性は向上しています。
アイン調剤の処方箋送信画面
こうした新しい機能も使用することで、無駄な時間を削減することができます!
よく利用する薬局でこういった機能がないか確認してみましょう!
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